


欧州という「鏡」が映し出す日本の課題
―ポピュリズム台頭、ウクライナ戦争の深層、そして日本外交の針路
5月27日、参議院「国際問題に関する調査会」において、現下の国際情勢世界の安定に向けた日本外交(欧州が直面する課題と日本外交の在り方)をテーマとした参考人意見聴取が行われました。水島治郎参考人(千葉大学教授)と下斗米伸夫参考人(法政大学名誉教授)から示唆に富んだ意見をいただいた後、福士珠美が質疑に立ちました。
「鏡としてのヨーロッパ」――水島参考人の意見
日本の近代化モデルであるヨーロッパを「鏡」として日本の進むべき道を考察。イギリスをはじめ欧州各国で既成政党が衰退し右派ポピュリズムが台頭する構造的背景、内外から複合的な脅威にさらされながらも理念を堅持しつつ現実に柔軟に対応するEUの姿、そして来月の天皇皇后両陛下のオランダ・ベルギーご訪問を前に、象徴的・文化的交流が国家間の関係再構築に果たす大きな力について説明されました。
ウクライナ戦争の深層と日本の針路――下斗米参考人の意見
ウクライナ戦争を「文明史の転換点」と位置づけ、350年以上前に形成されたカトリック・正教の文明的断層線とアメリカ国内政治のシンクロが戦争長期化の本質にあると解説。朝鮮半島モデルによる停戦シナリオが現実味を帯びるなか、スターマー英政権のロシア産エネルギー輸入再開など地政学の変化を具体的に示しました。日本は六者協議の再起動の音頭を取り、AI・ドローン兵器の倫理規制に向けた国際的な対話を主導すべきと提言されました。
水島・下斗米両参考人への質疑で、福士珠美は以下3点を質しました。
① 欧州の右派ポピュリズムと対ロ制裁網の堅持
欧州の親ロシア傾向を持つ右派ポピュリスト政党の台頭が対ロ制裁を弱体化させるリスクについて質問。水島参考人は、イタリアのメローニ政権のように政権獲得後にEU主流派と協調する例もあり根本的な崩壊には至らないと見込んでいること、日本はEUの内部事情に過度に振り回されるのではなく、自由民主主義・国際法遵守という理念を持って対峙していくことを強調されました。
② 北朝鮮の実戦経験と日本の安全保障
北朝鮮部隊がウクライナで実戦経験を積んでいるという報道を踏まえ、帰還後の脅威と日本の安全保障上の含意を質問。下斗米参考人は、北朝鮮軍が実際に展開したのはウクライナではなくロシア領内クルスク州での「対テロ作戦」であると前提を訂正しつつ、この関与で北朝鮮はドローン戦の知見と外貨を獲得したと分析。日本は米朝対話の再開や日朝国交正常化の可能性も念頭に、多様な選択肢を持ちフットワーク軽く対応すべき時期だと述べました。
③ 欧州のエネルギー政策転換と日本外交
フォン・デア・ライエン委員長の「原発に背を向けたのは戦略的誤りだった」という発言とフランスの原発増設方針転換を踏まえ、欧州エネルギー政策の今後と日本外交のあり方を質問。水島参考人は、「戦略的誤り」という表現は脱炭素・自然エネルギーへの転換という基本方針を捨てたものではなく、エネルギー価格高騰・生活費上昇の現状でそれを強引に進めればEUへの信頼が揺らぎかねないための現実的な修正であると解説。日本はイギリスの政策転換のような欧州の具体的な動きを注視しながら、柔軟・機敏に対応しなければ国民生活への影響が出ると述べました。
質疑動画のご案内
参議院インターネット審議中継のページで「2026年5月27日」と入力して検索し、会議一覧から「国際問題に関する調査会」を選択すると、福士珠美の質疑をご覧いただけます。
質疑は動画の1時間51分頃から始まります。

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